X線透過窓付き電気炉注意点

Ver. 2001.2.2

宇留賀

1.    本レジュメの使用法

本レジュメは、「X線透過窓付き電気炉取り扱い説明書」に記載されていない注意点をまとめたものである。まず「X線透過窓付き電気炉取り扱い説明書」を読んだ後に、補足情報として読むこと。

 

2.    運転前

(1)    冷却水チューブの接続

・緑のシンフレックスチューブ(冷却水用)のINを電気炉の冷却水INに接続する。

 

(2)    熱輻射シールドの設置

窓と検出器の間にアルミフォイル(反射の効果も期待できる)を設置することにより、窓からの多量の輻射熱が検出器に照射しないようにする。(5節の窓の項を参照)

 

3.    運転時

(1)    運転開始手順

マニュアルp712-3節を行う。

コンセントを入れる。

ブレーカを入れる。(電源ランプ点灯)。

操作電源スイッチ入れる。

マニュアルp712-4節に進む。

 

(2)    昇温速度

1600/40 minも可能であるが、ヒーターや耐火材にダメージを与えないため、1600/160 minが推奨される。

 

(3)    GAIN

制御盤のGAINはヒーターにかけるパワーのGAIN調整である。

運転時は通常、MAXでよい。

サイリスタレギュレータの出力が低下した状態で、GAINが高いとnoiseが生ずる可能性がある。この場合は、GAINを下げること。

 

(4)    アラーム発生時

3種のアラームランプの何れが点灯しても、ヒータースイッチが自動的に切れる。

万一、ヒータースイッチが自動的に切れない場合、手動で切る。

 

(5)    運転時の供給電力

分電盤の3φ200Vブレーカーは、コンセント盤13の合計で30 Aである。

電気炉は、start12 Aで、温度上昇と共に増加し最大約20 A使用する。

従って、実験ハッチで電気炉とチラー以外に、3φ200Vの機器を同時に使用することは避ける。

 

4.    炉内保守作業

(1)    炉内作業手順

炉内の作業を行う場合は、必ずコンセントをまず抜くこと。

次に温度計を引き抜くこと。

必要な場合、ヒーターを引き抜くこと。

 

(2)    清掃

試料のゴミ等が高温で焼けゴミが堆積する。掃除機の先端にソフトチューブを取り付け、ヒーターに触れても損傷を与えないようにした状態で、掃除すること。

試料が溶解し、側面や底面に固着した場合は清掃困難である。耐火材を交換する。

天井・底面、側面に使用されている耐火材は、(株)ニチアスhttp://www.nichias.co.jp/)製18HD(耐熱温度:1800℃)(600×450×厚さは5mm毎にサイズあり)を購入すること。鋸でカットし、細かい成形は砥石でこする。削りカスが多量に出るので室外での作業が望ましい。

 

5.    ヒーター

(1)     取り扱い

ヒーターは非常に脆いので、取り扱いに十分注意すること。ぶつけるとすぐにかける。

 

(2)     ヒーターの断線

断線は、コントローラーで電圧はかかっていても電流が流れないことから分かる。

炉の外側面のヒーター用ケーブル端子台からケーブルを外し、端子の両端の抵抗値をテスターで測定する。(正常ならば抵抗値0である)。

断線している場合、まず、炉から温度計を引き抜く。(マニュアルp11参照)。次に炉の上蓋を外す。

各ヒーターの端子部分で抵抗値を測り、断線しているヒーターを見つける。

断線しているヒーターを引き抜き、交換する。

この際、耐火材のスぺーサーも一緒に交換する。

スぺーサー材料:アルミナ/シリカファイバー。(株)イソライト工業http://www.isolite.co.jp/、TEL.06-6345-7271)製1700HAボード(耐熱温度:1700℃)(900×600×2 mm)を購入する。

アルミブレードを挟み込む際、ゆるいと接触部で接触抵抗が生じ発熱する。これはヒーターにとってもよくないので、注意する。

 

(3)     ヒーターの保護皮膜

ヒーターの組成:Mo/Siであり、酸素雰囲気下の高温でSiSiO2になり、ヒーターの表面に皮膜を形成する。(つるっと濡れたような感じ)。皮膜はMoの変性を防いでいる。

長時間、非酸素雰囲気下の高温で使用すると皮膜が剥がれ落ちる場合がある。(かさぶたのような感じ)。

皮膜を再生するには、大気中で1600℃で1時間程度保持すればよい。この時、蛍光測定用の側面蓋を開くだけで大気が炉内に進入し循環する。耐火材は取り外さなくてよい(多孔質であるため、大気は自由に循環する。)

 

(4)     ヒーターの変形

ヒーターは、高温下では、非常に柔らかくなり、変形することがある。(ファラディの電磁力で変形するほどである)。温調器のプログラムでゆっくり温度を下げていくと、変形したままの状態で室温に到達することがある。変形していても、ヒーターの性能には問題ない。

元の形状に戻すには、1600℃まで昇温した後、1時間保持し、その後、ヒータースイッチをOFFにし、急激に室温に戻せばよい。

 

(5)     ヒーター端子

天井の耐火材の上に出ている部分が高温になるとダメージを受け易い。

端子が高温になるのは、天井の耐火材に欠けや穴ができ、高温断熱の機能が低下しているためであり、補強もしくは交換が必要となる。

 

(6)     寿命

何も問題ない状態で使用すれば、毎日1600℃で使用した状態で、23年の寿命がある。

BL01B1での使用状況では、更に長期間使用可能である。

試料から反応性ガスが放出されると、ダメージを受け易く、寿命が短くなる。

 

6.    温度計

(1)    取り付け、取り外し

電気炉を移動する際には、温度計保護のため、必ず電気炉から取り外すこと。

 

(2)    挿入深さ

炉の天井から最低15 mmは突き出すように挿入すること。

試料温度を正確に測定するためには、できるだけ試料に接近させることが望ましい。(天井より〜30 mm

 

7.   

(1)    窓からの輻射熱

1600℃では、炉内はかなり明るく黄色(カプトン窓の色かもしれない)に光っている。

1600℃では、蛍光取り出し側面蓋は40℃程度に温度上昇している。(手で触れても問題なし)。他の側面、天井、底面は冷却されているので、冷たい。

窓を通して多量の輻射熱が放出されている。

この輻射が検出器等に直接照射されるとかなりの温度上昇が起こる。窓と検出器の間にアルミフォイル(反射の効果も期待できる)を設置することにより、輻射熱の影響を防止できると思われる。

窓材自体も1時間程度では、問題ないように見える。

万一、1600℃で窓が破損しても炉自体には問題が生じない。(試料が大気と触れ、問題が生ずる恐れはある。)

 

(2)    材質

蛍光取り出し口は、水冷されていないので、温度が上昇する可能性がある。

カプトンでOKと思われるが、長時間の使用では確認が必要。(マイラのような透明性の高い窓材など)

 

(3)    シール

外気の流入を防ぐには、o-ringでシールする方がよい。(ガスで内圧がかかっていても、高温下では対流が起こり易いため)